子供が小さかった時毎日この本を読んでいました。
子供が大好きだった本です。
子供が寝る前、本の読み聞かせをしていました。
今日何を読む?と聞くと、決まって『ノンビリすいぞくかん』と返事がかえって来ます。分かっているのに、毎日子供に同じ質問をし、毎日同じ返事をもらいました。
当時は夜中にファミリーレストランのキッチンのアルバイトをしていました。10時から3時くらいだったでしょうか? 私は毎日、子供が寝てから仕事に行っていました。昼間、夫のタイレストランを手伝っていたので、お客さんと顔を合わせないようにとキッチンの仕事をしていました。きっと沢山のパートさんがやめていったのでしょう。私も、どうせすぐに辞めてしまうだろうと思われていたのだと思います。
初めの頃は、アルバイトの男の子にとても冷たくされていました。仕事はきつく、寒い冬の日に、冷凍庫へ入り、次の日のために大量のハンバーグを出しておかなくてはなりません。ラストの時間帯には、冷たい水で、油で汚れた床をブラシで洗い流しました。重たいバケツを持ちながら、笑いながら立ち話をしているアルバイトの男の子たちに不満を感じていました。『暇なら手伝ってくれればいいのに・・・』。でも、ある日フッと気づきました。『私は男の子たちと同じお給料を貰っている。だから、女だからって力仕事を手伝ってもらいたいと思う事自体が間違っているのかも知れない』と。
それからは、どんなことも『はい』と笑顔でやっていました。お客さんがいなくて暇な時も、冷蔵庫の扉を拭いたり、男の子たちの仕事を手伝ったり、『お給料を頂いているんだ』という気持ちを持ち続けました。
すると、男の子たちの態度が目に見えて変わっていきました。
手が空くと私の仕事を手伝ってくれ、仕事の最後には余ったご飯でおにぎりを作ってくれました。
仕事の前に子供を寝させるため、この本を読んでいた事を想い出す度に、当時の事を思い出します。39度の熱があったのに自覚症状がなく、仕事に行ってから胸が痛くなって、夜中に病院へ行かせて貰ったこともありました。雪の日に、夜中仕事からの帰り道、野良猫が寒そう『にみゃ~みゃ~』と鳴くのを見て、助けてあげられないが辛かった事もありました。
何度も何度も読んであげていたので、遂にはボロボロになって、引っ越しするときにあの本を捨ててきてしまいました。でも、あの本の事が忘れられなくて・・・
ネットで、また購入することが出来ました。
今は大切に保管しています。
この本は、毎日寝る前に一緒に読むのを楽しみにしてくれていた子供が、結婚するときに渡そうと思っています。その子の子供もまた、お母さんから本を読んでもらえたらいいな、と思っています。
大変だったはずなのに、思い出すと笑顔になれる。
私は、この本と子供に感謝の気持ちでいっぱいです。
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