Sさんとの交流2

介護

介護施設Sさんのその後
今日は1月3日、介護施設での連続勤務最終日。明日からまた、会社での仕事が待っています。昨日からSさんがお泊りしていました。相変わらず顔は無表情。でも声を掛ければ優しい笑顔に変わる様になりました。
3時のおやつ前、Sさんはリビングにあるベットに横になったまま私を「おい、おい」と私を呼びました。
そばに行ってみると、何やら一生懸命言おうとしている。
「よ・こ・はや・さ・・・・」ん?横山さん?と言うと大きくうなずく。「今日はお休みだよ。」と言うと、「きょ・お・こ・・・・きょ・お・こ…」ん?恭子さん?(亡くなった奥さんだ。)恭子さんがどうしたの?
「お・は・な・・・か・い・た・い」あっ、お仏壇のお花を買いたいの?
大きく頷いた。私はとっても嬉しくなりました。Sさんが奥様にあげるお花を買いたがっている。
「あとでKさんが来たら聞いてみるね。」私はSさんに約束しました。

Sさんはさっきまで要らないと言っていたおやつのテーブルに移動すると、自分用の栄養剤を開けて欲しいと催促してきました。そして、それを美味しそうに食べ始めました。
「Sさん、お仏壇にご飯供えているの?」Sさんは首を横にふりました。
「Sさんは奥さんにお花をお供えしたり、お仏壇のお世話をしなくちゃね。大事な仕事があったね。」と言うと、またあの優しい顔で大きく頷いてくれました。

Kさんが戻り、私は聞いてみました。「すみません。Sさんが今日帰るとき奥様にお花を持って帰りたがっているんですけど、送りの途中で買う時間がなくて・・・難しいですか?」
すると、じゃあ俺が今買ってくるか!と言ってKさんは買ってきてくれました。Sさんは何度も何度も頭を下げて、いつもの時間にいつも通りに帰りの車に乗りました。

家に着くと、私はSさんの指示してくれる通りに、お花を活け、その横にお骨を寄せました。Sさんは小瓶に日本酒をちょこっと注ぎ、奥様の写真に向かって乾杯のまねをしていました。
Sさんの何気ない、ひとつひとつの仕草が、私にとっては大きな大きな感動です。

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