ベランダの窓の外
ベランダの窓を開けると大きな合歓の木(ねむのき)がある。優に10メートルは超えている。
正直に言うと、昨日までは何の木か知らなかった。ただ、毎朝必ず窓の外にある大きな木を眺めていた。最初は杉の木だと思っていた。こんなに近くにあって、スギ花粉のアレルギーにならないかと実は心配で眺めていたのだが、その内杉の木ではないことに気が付いた。よくよく見ると葉っぱが違う。そして仕事が休みのある日、遅く起きた朝に、その葉っぱが開いているのに気が付いた。昼間は葉っぱが開いているのが分かると、今度は仕事から帰宅した時も眺めるようになった。葉っぱが早朝と同様に閉じている。面白いな、と思った。そして、2~3日前にその木に花がさいた。淡いピンクの、遠くから見ると細いひもで組んだようなその形状がとっても繊細で優しい。そして今朝、その木の名前を調べてみようと思った。
『合歓の木』ネムノキ、名前は知っていた。
その花言葉は、「歓喜」「胸のときめき」。夜になると葉を合わせるように閉じる習性から中国では夫婦円満の象徴とされている。英語名をSilk treeといい、名前の通り、淡いピンクの花なシルクで作られた高級な刷毛のようで、その葉も鳥の羽を連想させる。別名、『眠りの木』とも『癒しの木』とも呼ばれている。
私がこの木に心奪われた理由。それはこの繊細で美しい花の形状だけではなかった。この木は、マメ科ネムノキ属で学名をAlbizia julibrissinという。同じ科の同じ属性、同じ学名を持つ、ある大きな木。あの有名な『この木なんの木気になる木』。ハワイのワイキキから少し離れたモアナルナ・ガーデンにどっしりと根を下ろし、130年もの長い間生き続けている『モンキーポッド』(日本名はアメリカネムノキ)。コマーシャルで有名になり、ハワイに訪れる観光客は皆、あの木を間近に見て大喜びして帰るそうだ。
私の大好きなハワイで見た『あの大きな木』が、小さな我が家の裏庭の木と繋がってる。不思議な発見、と同時に誰かに守られているような温かい感覚を覚えた。
ある女性が『本当の美しさとは何か?』とある僧侶に問うたとき、その僧侶が応えた。本当の美しさが何か、どこにあるのかを知りたいのなら、自然のある所に行きなさい。自然の中に身を置いて、自然の中にある、ありのままの美しさを見つけなさい。
もしかしたら、私は数週間前にこの言葉を聞いて、毎朝窓の外を眺めていたのかも知れない。
心は大きく感動し感謝の気持ちでいっぱいなのに、上手く言葉に表すことが出来ない。こうやって少しずつでも言葉で表現をする練習をしていたら、いつか上手く伝える事が出来るようになるだろうか?
今はただ、私自身がどんなに素晴らしい経験をさせてもらっているを自分が忘れないよう、感謝の心を忘れないよう、書き続けているのかも知れない。
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