Tさんとの交流

介護

派遣期間終了で、この施設での勤務も残り2日間となりました。。2日間とも入浴担当でした。

今日は初めてお会いするTさんがいました。尿パックをつけている女性で、食事などご自身で全て出来る方です。入浴時の衣服の着脱もご自分でされていました。
Tさんは最初の頃「私は今日帰りますので、入浴は結構です。」と頑なに入浴を拒否されていました。衣服や髪はきちんと手入れされており、動作にも問題ないTさんが入浴を拒むのには何か理由があるはず、と感じた私は時間を見つけ、Tさんの部屋でゆっくりと話をしてみました。

Tさんは現在娘さんと二人暮らし。今回娘さんの意向でほんの短期間滞在する事になりました。Tさん自身はすぐに帰れるものと承諾したものの、一向に迎えに来ない事に戸惑いを感じていました。

私は彼女の資料に目を通しました。そして、Tさんが施設にいる間、介護ベッドの準備をしてくれていること、部屋の掃除をしTさんが使いやすいようにしてくれていること、お母さんは頑固だからと準備している新しい環境を気に入ってくれるか心配していることなどを知りました。
「私は捨てられたんだ、もう娘は私を要らないんだ。戦争中に大変な思いをして生きてきたのに、私は長く生きすぎたんだ。」と訴えるTさんに、娘さんの思いをそのまま伝えました。
Tさんは黙って頷きながら私の話に耳を傾けてくれました。そして、「お金で買えないものがあるんだね。」と言ってにっこり笑ってくれました。

施設の中でのTさんの数日間の様々な拒絶に対して、なだめすかしながら食事を勧め、入浴を促していたことをとても不思議に感じました。Tさんの本当の心を知らないまま、やるべき事をしてもらうだけに注意を向け、あの手この手で促している様子を見て、何故Tさんと話をしないのかなと不思議に感じました。

ここでの私の仕事は今日で最後。他の職員さんと一緒に今日の出来事を共有する機会はありませんでした。最初から『派遣だから』と、仲間として扱ってもらうのが難しい職場でした。ここは色々なサービスが複合しており、そのため毎日毎日色々な人が出入りしています。今まで経験してきた長期滞在の老人ホームとは異なり、一人一人にゆっくり向き合う時間がないのかも知れません。訪問・看護・介護・滞在と多様なサービスに対応する新しい取り組みはすばらしいとは思います。が、その良さを充分に活かすためには、それが何のためなのか。誰のためなのか。その目的を皆が考える時間をもっと設けるべきだと思いました。

その目的を知り、それに沿った行動をする。これは私が学んでいる人生のしくみと同じです。問題の解決策だけを考えるのではなく、問題が起きた原因とその問題が起きるまでのプロセスを考える、そして問題に対しての視点を変えてみる。

来週からは新しい介護施設での勤務が始まります。今度は土曜日だけの仕事ですが、私にとっては大切な学びの場となります。新しい人に出会い、新しい出来事について考え、発見する。もっともっと多くの人と共有できることを楽しみに、またブログに書いていきたいと思っています。

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