顔面痙攣 ~手術を終えて~

気づき

顔面痙攣の手術を受けました。

当日の朝、女性看護師に付き添われ手術室に向かい、自分で手術台に横になりました。部屋中にある様々な機械、手術着を着た先生方や看護師の方達、天井に設置された手術室独特の電灯を見ていると『恐い』という気持ちが湧いてきました。その気持ちを静めようと、目を閉じ、何度も何度も深呼吸をしました。

酸素マスクを口元に当てながら、看護師さんが優しく言葉を掛けてくれます。暫くすると、『少しずつ麻酔を流すので、リラックスして、眠くなったらそのまま眠って良いですよ』と聞こえてきました。

気がつくと、ICU室のベットに寝ていました。どこも痛くないのに、何故か体が動かせません。手術をして下さった先生が部屋に入ってきて、『手術は成功しましたよ。これで良くなりますよ。』と声を掛けて下さいました。
『ありがとうございました。』お礼を言うと、先生は笑顔で出て行かれました。

その日は何故か背中の痛みの為に、一睡もする事が出来ませんでした。どうしようもない背中の痛みをじっと我慢するのですが、数時間たったからお願いしても大丈夫かな?と時計を見る度に、時計の針が10分しか動いていないことに気づき、何度もそれを繰り返し、結局は1~2時間おきに看護師さんにお願いし、体の向きを変えてもらったり、ベットの角度を変えてもらったりしていました。

看護師さんに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、土日に私が老人ホームでお世話をしていた、体が自由にならない『おじいさん、おばあさん』の辛さや気持ちの一部を初めて理解することが出来ました。そして、嫌な顔をせず対応してくれる事が ”どんなに大切なこと” なのかを身を持って体験する事ができました。

一般病棟に移動してからは、手術のリスクとして言われていた 顔面麻痺や聴覚の障害は一切なく順調に回復し、抜針(傷口はホッチキスの針のようなもので止めてありました)後、無事に退院する事ができました。

手術中の事は何も分かりません。ただ、麻酔から覚めたら全てが終わっていました。

帰宅後、まだ数日しか経っていませんが、手術前にあった症状は無くなり、何も心配する事なく生活している自分を不思議に感じています。顔面痙攣が私の気持ちに大きく影響していた事を、あらためて感じました。同時に気持ちが体に及ぼす影響も強く感じます。
治ったあと、これから自分がどのように生きていくか、無意識に望まない方向を選んでしまうことが
ないように、意識して望む方向を選んで行こうと思います。

最後になってしまいましたが・・・

顔面痙攣は生死に関わる病気ではありません。でも、その根治療法は手術のみと言われています。そして、その手術は脳を保護する頭の骨に穴を空け、小脳の奥にある血管と神経を引き離す難しい手術です。リスクもあるし、頭の骨の穴は『チタン』で蓋がされています。
想像するだけでも恐くなるような この手術が、全て眠っている間に行われ、術中はもちろん術後にも痛むことがないように、また、術後の傷跡が目立たないようにと配慮して頂いていました。不安な事・聞きたいことにも一つ一つに丁寧に対応して頂きました。
医師と看護師の方々に深く深く感謝しています。

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