不思議なつながり

介護

以前勤めていた有料老人ホームでのことです。といっても、辞めた後の出来事です。
そこで私は約一年パートとして働かせて頂いていました。引越し先の近くの施設を探し、いつものように土日だけの勤務でした。平日は引越し前の職場にそのまま通い、片道2時間かけて通勤していました。平日の中距離勤務と土日の介護。外から見るとハードなのだと思いますが、本人はいたって元気に楽しくやっていました。

そこでの勤務はとても楽しく、施設長、ケアマネ、他の職員の方、皆さんが仲間の一人として接して下さいました。私も職員の一人として、毎日勤務しているかのように働かせて頂きました。そこに滞在しているご利用者の方達とも非常に良い関係を持つ事ができました。他の職員の方たちと同様、私もご利用者の方達の身の回りのこと全てに目を向け、身体介護は勿論のこと、車椅子の状態や衣服の状態、部屋の状態にも気を配っていました。

その中でも特に私が心を通わせていた女性がいました。彼女はクリスチャンでした。教会に自由にいかれない状況で、彼女は毎朝一人自分の部屋で聖書を読み祈っていました。私はある日、彼女の部屋にあった聖書に気づき、声を掛け、そして自分も学生時代教会に通っていた話をしました。それから私は勤務の日はほんの数十分、昼休みを使って、彼女と一緒に賛美歌を歌ったり祈ったりしていました。30年も年の差がある私の姉妹はいつも穏やかで優しい顔をしていました。

1年後私が引越し前の地域にまた戻ることになり、土日の職場は近くで新たに探す事になりました。退職することを彼女に伝えると、彼女は『残念だけど、神様を通していつでも一緒に居られる。これからも毎日あなたのために祈ります。』といつもの様に穏やかに言って下さいました。
彼女は今も私のために祈ってくれているのだと思います。

つい最近、私は教会に行く機会がありました。そこで彼女が以前から欲しがっていた口語訳聖書の買える場所を聞くことが出来ました。(彼女が施設で読んでいた聖書は違った訳し方で、少し難しい言葉が使われていました。) 私は早速その聖書を買いに行きました。
翌日それを送る為、あらかじめ施設に連絡をしてみました。仲良くしていた事務の方でした。事情を説明し、聖書を送っても良いか聞いてみると、意外な返事が返ってきました。

辞めてすぐ後だったらまだしも。だいぶ時間も経っているし(1年位になります。)・・・。施設としては外からのお客様にしろ、ただの荷物にしろ、きちんと確認した上で必要であれば家族に連絡をしている。勤務中ならともかく、辞めた後のことなので、『なんで?』と思われてしまうだろう。という事でした。私は聖書を送るのは一旦保留にしました。理由がきちんと理解できたわけではありませんが、もう少し時期を待ってみようと思いました。彼女にとって本当に必要であれば、必ず渡せる機会が訪れる。彼女には私にそう信じさせてくれる何かがあります。私が今も彼女を思っていることも、きっと彼女は知っているような気がします。

彼女には不思議な繋がりを感じます。

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