今日は明後日の手術前のPCR検査を受けるため、病院に行きました。
母が一緒に来てくれました。
朝早い時間に町田駅で落ち合う約束をしていましたが、30分も早く母は到着し、私を待っていてくれました。何度か一人で通った時には、あっという間に着いた病院が、今日はとても遠く感じました。
朝、自宅の最寄り駅まで歩きながら、ずっと昔の事を思い出していました。
30年以上前、私は夫の出張の為、子供達を連れてシンガポールへ移住する事になりました。
当時母は再婚したばかり。
父が大好きだった私は、弟がまだ居るその家に新しい旦那さんが一緒に住むことに抵抗を感じ、結果母の結婚式には出席しませんでした。
実家に遊びに行くと、慣れ親しんだ家の何もかも雰囲気が変わり、それを受け入れる事も出来ませんでした。
シンガポールへ行く日が決まり、母は空港へ送る事を申し出てくれました。
私はそれを断り、母が用意してくれた餞別も受け取らず、日本を離れました。
今になって、母の当時の辛い気持ちが分かります。
母に対してとった私の冷たい態度。
今になって、母の悲しみが伝わってきます。
母は今、昔の事を何も言いません。
ただ、今日も、『退院するときは病院に来るね』『入院中も連絡が取れるようになったら来るね』と言ってくれます。
一緒に病院から戻って来て、町田駅から10分ほど歩いた所にある美味しい豆腐料理をご馳走してくれました。『私の着ているコートと同じのが欲しい』と、一緒に母のコートを探していたのに、母の気に入った物が見つからず、『病院へ行くときに着て行ったらいい』と、私の洋服を買ってくれました。
30数年前、シンガポールへ行くときも、同じようにしていたら良かったな、と思います。
母の気持ちを思いやる、優しい娘だったら良かったな、と思います。
遠い昔が、今と重なり、今日の一瞬一瞬が心の中に深く深く刻まれていました。
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